「エンディングノートを書こうと思っているけれど、何をどう書けばいいかわからない」——そのような声をよく耳にします。エンディングノートは特別な知識がなくても書けるもので、家族への大切なメッセージになります。この記事では、記入すべき項目と具体的な書き方の例を紹介します。
エンディングノートとは?遺言書との違い
エンディングノートとは、自分の意思・希望・情報を家族や周囲の人に伝えるために書くノートです。「もしものとき」に残された家族が困らないよう、医療・介護の希望から葬儀の形まで、自由に記しておくことができます。
遺言書との主な違い
| 項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり |
| 書き方の決まり | 自由 | 厳格な形式が必要 |
| 内容の変更 | いつでも自由 | 手続きが必要 |
| 目的 | 意思・希望の伝達 | 財産分与などの法的指示 |
財産の相続に関する指示は遺言書に記す必要がありますが、「どんな葬儀にしてほしいか」「介護が必要になったらどうしてほしいか」といった希望はエンディングノートに書いておくと、家族の大きな助けになります。
エンディングノートに書くべき7つの項目
1. 基本情報・緊急連絡先
まず最初に書いておきたいのが、家族でも意外と知らない基本情報です。
- 氏名・生年月日・血液型
- マイナンバーカードの保管場所
- 年金手帳・保険証の保管場所
- かかりつけ医の名前と電話番号
- 緊急連絡先(親族・友人)の氏名・電話番号
記入例
かかりつけ医:○○クリニック 田中医師(電話:03-XXXX-XXXX)
持病:高血圧、糖尿病(内服薬一覧は薬局の袋を参照)
2. 医療・介護に関する希望
判断能力が低下したときや終末期の医療について、家族は判断に迷うことがあります。事前に希望を書いておくことで、家族の精神的な負担を減らせます。
- 延命治療を希望するか否か
- 介護が必要になった場合、自宅か施設か
- 入院・手術の際に知らせてほしい人
- 臓器提供の意思
記入例
延命治療:回復の見込みがない場合は、苦痛を取り除く緩和ケアを優先してほしい
介護:できるだけ自宅で過ごしたい。子どもたちに負担をかけすぎないなら施設も受け入れる
3. 財産・資産情報
相続手続きに必要な情報をまとめておきます。口座番号などは全て記す必要はなく、「どこに何があるか」がわかる程度でも十分です。
- 預金口座のある銀行名と支店名
- 加入している生命保険・医療保険の保険会社名と証券番号
- 不動産(土地・建物)の所在地と権利証の保管場所
- 株式・投資信託などの証券口座
- 借入金・ローンの有無
記入例
通帳・印鑑の保管場所:書斎の引き出し(鍵は仏壇の引き出しに保管)
生命保険:○○生命「○○プラン」、証券番号XXXXXXXX、保険会社連絡先:0120-XXX-XXX
4. 葬儀・お墓に関する希望
葬儀の形は、残された家族が急いで決めなければならない事柄のひとつです。希望を書いておくと、家族が「これでよかったのか」と後悔することを防げます。
- 葬儀の形式(一般葬・家族葬・直葬など)
- 宗教・宗派
- 呼んでほしい人・呼ばなくてよい人
- お墓の希望(既存の墓・新規購入・納骨堂・樹木葬など)
- 戒名について
記入例
葬儀:家族葬でシンプルに行ってほしい。会社関係への連絡は不要
お墓:すでに○○霊園に家のお墓があるので、そこに入れてほしい
好きな花:白いリンドウやトルコキキョウを飾ってもらえると嬉しい
5. 家族・知人へのメッセージ
日常ではなかなか伝えられない感謝の気持ちや思いを書く欄です。家族にとって、最も大切なページになることも多いです。
- 家族一人ひとりへのメッセージ
- 友人・知人へのメッセージ
- 自分の人生を振り返っての言葉
6. ペットについて
ペットを飼っている場合は、自分に万が一のことがあったときのことを書いておくと安心です。
- ペットの名前・種類・年齢
- かかりつけ動物病院の名前と電話番号
- 飼育方法(エサの量・散歩の回数など)
- 引き取りを頼める人の名前と連絡先
7. デジタル資産・アカウント情報
スマートフォンやパソコンにパスワードがかかっていると、家族がアクセスできなくなります。
- スマートフォン・パソコンの暗証番号
- メールアカウント
- SNSアカウントの処理希望(削除・追悼アカウント化など)
- サブスクリプションサービス(解約の必要があるもの)
※パスワードは全て書かず、「○○の金庫の中に一覧がある」などと保管場所のみ記すのが安全です。
エンディングノートの選び方と始め方
市販のノートを選ぶ
書店や文房具店、インターネット通販でさまざまなエンディングノートが販売されています。価格帯は500円〜3,000円程度。「書く項目があらかじめ印刷されているもの」を選ぶと、何を書けばよいか迷いにくくなります。
主なエンディングノートの種類:
- 書き込み式(ページに沿って記入するだけ)
- バインダー式(後から項目を追加・並び替えできる)
- デジタル版(スマートフォンアプリや専用サービス)
無料テンプレートを活用する
多くの市区町村が無料のエンディングノートのひな型を配布しています。市区町村の窓口や公式ウェブサイトで入手できることがありますので、まず問い合わせてみましょう。
書き始めるコツ
「全部一気に書こう」と思うと挫折しやすいです。以下の順番で少しずつ書き進めることをおすすめします。
- まず基本情報と緊急連絡先だけ書く(30分程度で書ける)
- 次に医療・介護の希望を書く
- 葬儀・お墓の希望を書く
- 財産情報をまとめる
- 家族へのメッセージを書く
よくある疑問
Q. エンディングノートは何歳から書けばよいですか?
書き始める年齢に決まりはありません。終活の調査によると、50代から書き始める方が増えており、40代で書く方もいます。「書いてみようかな」と思ったときが始め時です。
Q. 書いた後はどこに保管すればよいですか?
「もしものとき」に家族がすぐに見つけられる場所に保管してください。保管場所を家族に伝えておくことも大切です。鍵のかかった場所には入れないようにしましょう。
Q. 内容は変えてもよいですか?
何度でも書き直せます。遺言書と違い法的効力がないため、気持ちや状況が変わったら自由に更新してください。年に一度見直す習慣をつけると、常に現状に合った内容を維持できます。
Q. 家族に見せるべきですか?
保管場所は伝えておくべきですが、内容をすべて見せる必要はありません。ただし、医療・介護の希望については家族と話し合っておくと、いざというときに家族が判断しやすくなります。
まとめ
エンディングノートは、残された家族への「最後の贈り物」です。難しく考えず、「家族に伝えておきたいこと」を少しずつ書き留めていきましょう。
書いておくべき主な項目を振り返ります:
- 基本情報・緊急連絡先
- 医療・介護の希望
- 財産・資産情報
- 葬儀・お墓の希望
- 家族へのメッセージ
- ペットについて
- デジタル資産
「完璧なものを書かなければ」と身構えず、まずは基本情報だけでも書き始めてみてください。一度書いてしまえば、あとは少しずつ内容を充実させていけます。エンディングノートを書くことは、自分の人生を見つめ直す良い機会にもなります。